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新規事業のアイデアを評価する5つのシンプルな質問~実際に日本の企業で当てはめてみた~

いざ新規事業を立ち上げようとしているあなたは、綿密にかつ深い考察を経てビジネスアイデアを練ってきたことだと思います。

しかし事業化する前の段階では、もしかするとそのアイデアが成功した良い未来にばかり目が奪われているかもしれません。

もしくは、あなたの元に届けられた新規事業案の二つがどちらも甲乙つけがたく、どちらを実行すべきか悩んでいないでしょうか?

この記事では、そのようなビジネスアイデアをいかに評価すべきかお悩みの方に向けて、シンプルな5つの質問を紹介します!大きな枠で客観的にアイデアを評価するのにお役立てください。

ビジネスアイデアはある程度練っておく

まず、評価する対象であるビジネスアイデアはある程度洗練されている必要があります。
以下の記事を参考に、あなたや周りの課題を解決するアイデアを作り上げましょう。

【1日でできる】ビジネスアイデアの出し方を5つのステップで解説

ビジネスアイデアを客観的に評価して、実現化しよう

アイデアがある程度煮詰められたものならば、次にあなたのアイデアに対して投げかけるべき5つの質問を、一つずつ解説していきます。

使い方としては、各項目10点満点などにし、各項目のスコアを産出して5項目を合計することで、アイデアごとの総合的な評価が比較可能になります。

その商品・サービスでないといけない理由は何か?

あなたの新規事業のサービスや商品が「どれくらい差別化されているか」を問う質問です。この理由が強ければ強いほど参入障壁が高まり、市場でのシェア確保が期待できます。

また同時に、類似サービスだけでなく代替手段と比較した場合にどの程度選択されうるのかという可能性も検討しましょう。

市場の規模と成長度は充分か?

新規参入する場合に非常に重要なポイントなのが、どのような市場に参入しようとしているかということです。DXやテレワークの推進により先が読みづらい現代ですが、短期的のみならず中長期的にどのように市場が推移していくか予測することが大切です。

もちろん、規模が縮小しつつある市場において従来の方法とは一線を画すアイデアにより十分事業を展開することが可能なケースもありますので、そういった場合にはこの質問は敢えて外す事もありでしょう。

ただし、やはり成長産業にこそ働き手が集まり、そして知識と経験が集まるものですから、参入する市場の判断は慎重に行いましょう。

グローバル展開が可能なプランか?

これからの時代は、ビジネスを発展させていくうえで、グローバル対応が求められることが多くなります。それは、簡単に海外の人とコミュニケーションが取れ、移動コストも下がり続けているからであり、日本のみで行うよりも海外で事業を展開できれば、その分スケールメリットも享受できます。

ただし、国が変わるということで、ビジネス習慣や生活環境など日本では常識的であることが通用しないケースが多々あります。その点は各国ごとに検討が必要ですので、日本の次にターゲットとしている国がある場合は、予めリサーチしておきましょう。

収益の道筋を立てられているか?

釈迦に説法ではありますが、ビジネスである以上は収益を生まなくてはなりません。

これは即座に収益化が必要だと言っているのではありませんが、どのような成長フェーズを経て、どのくらいの段階で収益が発生し始めるのかという点を描いておきましょう。

この質問に答えるためには、収支計画書や事業計画書を細部まで作り込むことが必要となります。加えて、いくら優れたソリューションを提供しているとしても、手元資金がつきてしまえば組織が存続できなくなります。キャッシュフローや資金調達プランについても検討することで、より確固たるプランにしましょう。

アイデアをやり遂げるチームやステークホルダーがいるか?

新しい事業を起こすことはやりがいのある事ですが、想像以上に困難な出来事や精神的な負荷をかかえることでもあります。そんな場合にあなたの助けとなるのが、共に事業を行っていく仲間やアドバイスをくれる周りの人達です。

また、決断や今後のプランに悩んだ際に、自分とは違った視点で意見を出してくれたり、客観的な評価をしてもらうこともあります。もしあなたが一人で始めようとしている場合には、社外の方で良いので、実際に相談したり話し合える知り合いを作っておくことをオススメします。

社内ベンチャーを立ち上げる場合には、サポート体制やリソースを充分に割けているか?と読み替えてください。まだ成功ビジョンは明確ではないが、試験運用的にスタートする場合には、人的にも資金的にもリソースが不足しがちです。これはベンチャーではありがちではありますが、必要に応じて力を注げるプランを用意しておきましょう。

デゥークキタガワ
デゥークキタガワ
私も一番最初に起業した際には、想像よりはるかに多くの困難と向き合う日々を経験しました。

それでもなんとか形のあるビジネスとして成長させられたのは、共に起業した仲間と応援してくれた起業家の先輩方のおかげであり、今も感謝しています。

メルカリを例に、実際に質問をあてはめてみた

では実際のサンプルとして、フリマアプリの「メルカリ」を例に、上記5つの質問をあてはめてみましょう。各項目10点満点で、独断によりスコアリングを行いました。

結果は・・・42/50点!
あなたが自身のビジネスアイデアを評価する際には、総合で30点あれば一定の可能性が見込めると考えて良いです。

では、個別の項目ごとのスコアを見ていきましょう!

参考資料:財務総合政策研究所「メルカリのこれまでの 成長の軌跡と今後の戦略」(株式会社メルカリ取締役会長、小泉文明氏)

購買行動のシフトに着目し、他社を圧倒することで成立する

Q1.その商品・サービスでないといけない理由は何か?

スコア:6/10点

現実として、メルカリは後発企業でしたが、フリマ市場が勝者総取りであると認識し、良いプロダクトを作り込み、大々的なプロモーションにより1位ポジションを取ることでビジネスとして成立というビジョンを描きました。

従来のインターネットオークションサイトやamazon等でのeコマースと比較した際に、購買行動の過程での探索を楽しむ傾向に人々はシフトしており、SNSの隆盛にマッチする形でプラットフォームを提供出来ているのがポイントです。

サービス自体はもちろん作り込まれていますが、それよりもビジネススキームの貢献の方が要素として大きいため、6点に留めました。

成長機会が多く残されている市場

Q2.市場の規模と成長度は充分か?

スコア:7/10点

日本において、いわゆる不用品と呼ばれているモノの推定価値は年間7.6兆円(参考資料内記載)とのことで、個人間の不用品売買市場は充分であると言えます。

日本においてはこれから人口が減少していくと予想されていますが、「所有」から「シェア」する風潮は高まり、市場自体は縮小せず寧ろ活性化していくだろうと考えられます。

市場の成長度としては高く推定されるものの、他社共存には向かない規模に留まる点で上記スコアとしました。

日本とアメリカで実証され、グローバル展開可能である

Q3.グローバル展開が可能なプランか?

スコア:9/10点

1つ目の質問と同様の戦略を取ることで、同様の展開をグローバルでも行うことが可能だと言えます。実際にアメリカでも既に事業展開を行い、第2例として年70%の成長率を出している点からも、その他の国でも応用が効くと考えられます。

強いて言えば、途上国を中心に展開していくことを考えた場合には、その国での輸送インフラや金銭授受のインフラ、もしくは個人間取引に介入する際の法整備等には配慮する必要があるでしょう。

プロダクト制作から収益化まで確立されている

Q4.収益の道筋を立てられているか?

スコア:10/10点

実際にプロダクトを作り込むのを第一フェーズとし、それから大々的にPRしていくことでユーザーを囲い込み、それから販売手数料を設定することで収益に結びつけていくというプランが確立されています。

収益を生むことだけではなく、そこに至るまでの経過と成長戦略には学ぶ点が多いです。

チームの力で、日本有数のユニコーン企業へ

Q5.アイデアをやり遂げるチームやステークホルダーがいるか?

スコア:10/10点

一言でいうと豪華すぎるチームであり、一般的にあてはまるのかどうかは難しいですが、下記参考資料で言われているように、個の力のみならず、それを集約することで日本有数のユニコーンと言われるまでに成長したという点は参考にすべきだと言えます。

参考資料:BUSINESS INSIDER「メルカリの凄すぎる“ゴールデンチーム経営陣”全覧、なぜ業界有名人が集結するのか」

まとめ

今回は、あなたのビジネスや新規事業プランを評価するのに有効な5つの質問を紹介しました。恐らくビジネスアイデアを考える際には頭の中で通過するポイントであるとは思いますが、客観的に再度疑問を投げかけることで、そのプランの強みと弱みや成長可能性などをより明確にすることが可能になります。

もちろん、今回の5つのシンプルな質問以外にも様々な要素が絡み合ってビジネスは成り立っていますが、あなたの評価を手助けする、思考のスタートや取っ掛かりとして活用いただければ幸いです!