VCと個人投資家を徹底比較!具体的な投資の受け方から注意点までご紹介
起業するため、または事業展開をするために出資を受けたいと思っている起業家は多く存在します。
しかし、投資にはどんな種類があるのか、どうすれば投資を実際に受けることができるのか、分からないですよね。
お金が関わることなので、不安も付きまといます。
- VCと個人投資家の違いは何?
- VCと個人投資家から投資を受けるためにはどうすれば良いの?
今回は、このような疑問にお答えします。
この記事を読むことで、VCと個人投資家の違い、それぞれからの投資の受け方、そして投資の受ける際の注意点など、投資を受ける際に必要な情報を網羅的にご理解いただけます。
目次
VCと個人投資家の違い
最初に、VCと個人投資家の違いを解説します。
VC(ベンチャーキャピタル)とは
VC(ベンチャーキャピタル)とは、ベンチャー企業の株式を引き受けるなどの方法で出資する会社です。
後にその出資先企業が株式公開した際に、キャピタルゲインを得ることをが目的です。
実績がないため銀行からなかなか融資を受けることができないベンチャー企業も、VCからであれば投資を受けることができる可能性があります。
そもそも「ベンチャー企業」は和製英語で、このVCから派生した言葉です。
VCから投資してもらうためには、まずそのVCと面接・事業計画書の提出などの審査を受ける必要があります。
審査通過後、投資額・株価などの条件について協議し、投資契約書が交わされます。
個人投資家(エンジェル投資家)とは
個人投資家(エンジェル投資家)とは、企業に投資する個人のことを指します。
個人投資家は「可能性のある若い起業家・企業を応援したい」という想いから投資する場合が多く、経営のサポート等を行うこともあります。
個人投資家に投資をしてもらうためには、その投資家と会って投資をしてもらえるように自社をアピールする必要があります。
投資を受ける方法は、関係者からの紹介か、マッチングサイトの活用などがあります。マッチングサイトについては、下で詳しくご紹介します。
VCと個人投資家の違い 4選
VCと個人投資家は、「出資者」「被投資企業の段階」「審査」「出資金額」の4つの違いがあります。
VC | 個人投資家 | |
出資者 | (投資家の代理で出資を行う)法人 | 個人 |
被投資会社の段階 | 事業拡大段階 | 最初の成長段階 |
審査 | 有(面接、計画書提出、協議等) | 無(個人の意思) |
出資金額 | 高い(1億〜数億円) | 低い(1,000~数千万円) |
VCは法人であるのに対し、個人投資家はその名前の通り個人で投資を行う人です。
従って、VCは数字に厳しく、個人投資家は経営方法に厳しいという特徴があります。
あくまでも傾向ですが、VCはこれから事業展開をする上で投資を受ける、個人投資家は起業して間もない企業が受けることが多いです。
ただし、VCも原則ベンチャー企業に対して出資を行うので、一概には言えません。
法人か個人であるかの違いにより、審査の有無が変わります。
VCは投資家の代理で出資を行う法人のため、責任が生じます。従って、かなり厳しい審査があります。
一方で個人投資家は個人が意思決定を行うため、「感動した」など感情が動いたから、という理由で投資が行われることがあります。
VCは複数の投資家から集めた資金を代理で出資しているため、取り扱っている金額が大きくなります。その分リターンの確実性・厳格な審査などが必須になります。
一方で個人投資家はあくまでも個人であるため、投資金額は少なくなっています。
VCと個人投資家のどちらを選択するべきか
VCと個人投資家のどちらを選択するべきかを判断するための項目をいくつかご紹介します。
VC | 個人投資家 | |
会社の段階 | 事業展開 | 起業前・直後 |
必要金額 | 高い(1億~数億円) | 低い(1,000~数千万円) |
業種 | 銀行系、政府系、保健系等などそれぞれが別の業種に対応 | 主に医療系、IT系 |
自社判断 | 業績で勝負 | 熱意で勝負 |
VCと個人投資家からの投資の受け方
VCと個人投資家から投資の受け方を解説します。
VCから投資を受ける方法
VCから投資を受ける流れは、下記の通りです。
- VCと接触する
- 必要書類を提出する
- 面接
- 条件交渉
- 投資契約書の締結
VCはセミナーに参加する・ネット、新聞などの情報源から投資案件を常に調査しています。
VCと接触するためには、これらのセミナーで名刺交換する、または情報源に接触しましょう。
VCは基本的に、飛込案件には良質なものはないと思っているからです。
またVCにもよりますが、必要書類は一般的には下記の通りです。
・定款
・登記簿謄本
・決算書・税務申告書
・月次残高試算表
・事業計画書
・資金繰り表
・借入金返済予定表
・資本政策
・株主名簿
・公認会計士・監査法人のショートレビュー
・自社の製品・サービス・技術に関する資料
・役員の履歴書
・特許等
これらを全て用意し、審査に臨む必要があります。審査が通過し次第、面接、条件交渉と続きます。
資金繰り表の作成については、詳しくは下記のページをご覧ください。
個人投資家から投資を受ける方法
個人投資家から投資を受けるためには、まず個人投資家と出会う必要があります。出会う方法は、主に下記のものがあります。
・マッチングサイト
・マッチングセミナー
・直接メール・電話
人気のマッチングサイトには、下記の3つがあります。
・ANGEL PORT
投資家のプロフィール公開
投資家へのインタビュー記事・FUNDINNO
日本初の株式型クラウドファンディングサービス・Startup List
国内最大級規模のマッチングサイト
投資家情報の検索・比較機能
VCと異なり、個人投資家が投資を決めるのは個人の意思です。従って、決まった手順は存在しません。
しかし、下記のような条件が揃っていることを意識しましょう。
・事業として
プロダクトの市場適合性
エグジット・起業家として
圧倒的な自信
強靭な体と心
高い目標設定
個人投資家は、将来的に出資先企業が株式公開を際にキャピタルゲインを得ることを目的に投資します。
従って、いつか株式上場を目指している会社であることが大前提になります。
また、その事業の商品・サービスを実際に利用している消費者を見出す作業を「プロダクトの市場適合性」と呼びます。
そしてこれらの条件が揃っていれば、後は起業家自身の人間力が勝負です。
絶対にその事業を成功させる力が自分にはあると、個人投資家へしっかりとアピールする必要があります。
相手のメリットを考えて上で、自分の強みをアピールできる準備を整えましょう。
日本のVCと個人投資家15選
主なVCと、有名な個人投資家をご紹介します。
VC4選
主なVCを4選ご紹介します。
政府系VC 政府・公的機関によって運営されているVC。 |
・東京中小企業投資育成 ・産業革新機構 ・株式会社ケイエスピー |
---|---|
証券会社系VC 証券会社傘下のVC。 アーリー・ミドルステージの企業にも前向きに投資する傾向がある。 |
・ジャフコ |
銀行系VC 銀行からの出向者が多いため、銀行融資に近い厳し目の審査体制があることが特徴である。 |
・SMBCベンチャーキャピタル ・みずほキャピタル |
事業会社系VC 投資が本業ではない通常の事業会社傘下VC。 他のVCと比べ、審査期間は1ヶ月ほどと短いが、投資が実行されるまでに数年かかるというケースもある。 |
・NTTドコモ・ベンチャーズ ・TBSイノベーション・パートナーズ ・フジ・スタートアップ・ベンチャーズ |
個人投資家11選
有名な個人投資家をご紹介します。
高野秀敏 | ・クラウドワークス、メドレー等、過去に30社以上の投資歴 ・投資先の事業内容は多岐にわたる(人材育成・求人・旅行等) |
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青柳直樹 | ・メルカリの執行役員、クラウドワークスの社外取締役、メルペイの代表取締役を兼任 ・WAmazing、AppBrewなど様々なベンチャー企業に投資を行っている |
赤坂優 | ・Pairsで有名な株式会社エウレカを創立 ・20社以上に、1社あたり300~5,000万円の投資歴 ・年間10社を目安にスタートアップに投資 |
有安伸宏 | ・19歳に初めて起業を経験、これまでに4社の創立に携わる ・マネーフォワード、AnyPay、ママリなど過去に50社ほどの投資歴 ・1社あたり500~5,000万円ほど投資 |
家入一真 | ・CAMPFIRE、BASEの創業者 ・投資に限らず、起業家の人生相談に乗ることを大事にしている |
伊藤穰一 | ・日本人初のMITメディアラボ所長、マサチューセッツ工科大学教授、PureTech Health取締役会長 ・主にアーリーステージのベンチャー企業に投資 |
川田尚吾 | ・DeNAの共同創業者兼取締役 ・IT系企業のメインに30社ほど、1社あたり500〜数千万円の投資歴 |
木村新司 | ・AnyPay取締役会長 ・約40億円をベンチャー企業に投資 |
国光宏尚 | ・株式会社gumi代表取締役、30億円ファンドgumi Cryptos創立者 ・仮想通貨、ブロックチェーン技術への投資に積極的 |
佐俣アンリ | ・独立系VC、ANRI代表 ・30代前半の若手投資家 ・投資対象のジャンルは幅広い |
孫泰蔵 | ・起業支援プロジェクトMistletoe創業者 ・ソフトバンクグループ創業者孫正義氏の実弟 ・投資対象は「社会に対してインパクト」を与えている企業と公言 |
投資を受ける際の注意点
VCや個人投資家から投資を受ける際の注意点について解説します。
- 必ず株式公開をしなければいけない
- 経営者が経営を自由にできなくなる、完全に外部に握られる
- 償還期限に間に合わないと事業が廃止になる
VCと個人投資家は、出資先の会社が株式公開をし、そこからキャピタルゲインを得ることを前提としています。
そのため株式公開の可能性が低い、またはないと判断された場合、資金回収をされてしまうこともあります。
そして株式の一部を譲渡するということは、経営権の一部を譲るということです。
また、出資比率が過半数を超えてしまうと、重要な意思決定は全て投資家の許可を得なければいけないなど、様々な制約を受けることになります。
特にVCは、金融機関・投資家などから集めた資金を起業家へ代理出資している立場にあるため、一定の期間で利益をつけて資金を回収・返却する必要があります。
つまり、出資には償還期限が存在しています。この期限に間に合わなかった場合、ただちに事業の売却、買取先の発見、または最悪の場合経営者自身が株式を買い取ることを求められます。
投資についての相談先
投資についての相談は、税理士がおすすめです。税理士に相談することによって、様々なメリットがあります。
- VC・個人投資家の紹介してくれる
- 審査に必要な書類の作成をしてくれる
- 投資を受ける計画を立ててくれる
資金繰りの相談先については、詳しくは下記のページをご覧ください。
【資金繰り 相談 URL】
まとめ
VCとは、金融機関・投資家などから集めた資金で、ベンチャー企業の株式などを引き受けるなどの方法で出資する会社です。その一方で個人投資家とは、企業に投資する個人です。
VCと個人投資家は、「出資者」「投資会社の段階」「審査」「出資金額」の4つの項目において異なります。
VCは、企業が事業拡大時に高額の出資金を提供する代わりに、リターンの確実性が求められるため審査が非常に厳しいです。
個人投資家は、企業が最初の成長段階で出資金を提供することが多く、個人であるため出資金が多くない分決まった審査などはありません。
どちらを選ぶかは、基本的にはその会社の段階で選択することをおすすめします。
ただし、投資を受ける際の注意点も存在します。
投資家はキャピタルゲインを得ることを目的としているため、最終的には必ず株式公開する必要があります。
また株式の一部を譲渡するため、経営権の一部を譲ることになり自由な経営が制限されます。
そして償還期限に間に合わなかった場合、強制的に事業の売却や株式の買取を迫られる可能性があります。
これらのリスクを回避するため、またややこしい書類作成の相談は、税理士がおすすめです。