【挑戦者を増やす ”いま-みらい塾” 塾長 歌崎雅弘】自伸(じしん)に満ちあふれた社会を創造する~挑戦することの大切さとは?~
皆さん、勉強はお好きですか?
おそらく、勉強を好きだという人の方が少ないのではないでしょうか。
しかし、義務教育で9年、高校で3年、大学に行く人であれば追加で4年、大学院だと…というように、多くの方が10年以上学生でいるにも関わらず、好きなことではないというのも不思議な話です。
そんな状況を打開するべく、ある学習塾がアプリを開発しました。それが「はやべん」です。
8600万人が利用するLINEのプラットフォーム上で提供されるはやべんは、「挑戦」と「改善」という観点から誕生しました。今回はそんなはやべんを生み出した歌崎さんをお招きして、挑戦すること、そして、私たち自身が成長することについて、独自の哲学をお話いただきました。
歌崎雅弘:京都大学農学部卒。12年間会社員として働いたのち、半年で偏差値を40から80まで上げた「さとり学習法」を提供する「いま-みらい塾」を開講。その後、勉強のなかに挑戦を組み込んだ「はやべん」を開発。
目次
自身で見出した勉強方法が、今の自分を形成している。
歌崎
初めまして。本日はよろしくお願いします。
こちらこそ、よろしくお願いします。まずは歌崎さんのご経歴をお伺いしてもよろしいでしょうか?
StartUp CEO石川
歌崎
わかりました。歌崎と申します。現在は「いま-みらい塾」という学習塾の塾長をする傍らで、NPO法人「こどもごころ」の理事長をしております。塾は2016年に開講したのですが、大学卒業から塾を開講するまでは、大手スポーツメーカーで12年間サラリーマンをしていました。そこでは新規事業の立ち上げ等を行っていました。
スポーツメーカーから塾の開講は非常にかけ離れているように思えるのですが、どういった関連性があったのでしょうか?
StartUp CEO石川
歌崎
新卒入社した会社と塾には、何の関係性もありません。関係しているのは、僕が中高校生のときですね。僕は中高一貫の私立校に入学したんですが、勉強に全く意味を見出せていませんでした。周りのみんなは「いい大学に入るため」と一生懸命勉学に励んでいたのですが、僕は「大学に入ってもただ遊ぶだけだから、行っても意味無いよ」と周りに言っていたほどです。
すごい状態ですね(笑)。何か勉強以外のことをやられていたんですか?
StartUp CEO石川
歌崎
ひたすらアメフトとゲームばかりやっていました(笑)。そして高校3年生の夏、京都大学のアメフト部の情報を耳にしたんです。京都大学のアメフト部は、全国でもトップクラスの実力を誇っていて、全国優勝するほど強いチームです。しかも、推薦がある私立大学とは違い、ほとんどが一般入試で京都大学へ入ってきた人たちばかりなのにも関わらず、です。
そんなに強いんですか。それはすごいですね。
StartUp CEO石川
歌崎
そうなんです。僕は、そこに魅力を感じました。「絶対にここでアメフトをやりたい」そう思った。ですが当時の僕の偏差値は40ほど。当然、担任の先生に止められてしまったんです。「お前には絶対に無理だ。偏差値的にありえない。」と。僕はその言葉にカチンときてしまって。そこから必死に勉強しました。半年しか時間がなかったので、どうすれば効率的に勉強ができるのかを突き詰めて考えました。その結果、偏差値を80まで上げることに成功し、無事に京都大学農学部に合格しました。
「ビリギャル」の世界観ですね(笑)。しかも、国立大学なんで全教科の偏差値を上げているということですよね…?
StartUp CEO石川
歌崎
彼女は2教科だったところを、僕は9教科に取り組んで偏差値を80まで上げました(笑)。当時の担任の先生には「何年かかっても無理だ!」とまで言われたんですが、合格することだけを念頭において勉強した成果が出ましたね。そのまま京都大学に入学し、卒業後にサラリーマンになります。サラリーマンになったときも、「大学受験の際にした勉強方法に意味があった」と思わされることが何度もありました。だからこそ、「この経験(勉強方法)は絶対に社会のために役立つ」と思い、一念発起して独立しました。
ただ勉強方法を伝えても意味がない。”自伸”をつけるための場所「いま-みらい塾」
ここからは「いま-みらい塾」についてお伺いできればと思います。「普通の学習塾とは違う」ということをお聞きしているのですが、具体的にはどういったことを教えていらっしゃるのでしょうか?
StartUp CEO石川
歌崎
いま-みらい塾には、「自伸(じしん)に満ち溢れた社会を創造する」という理念があります。ここでいう自伸は、「自分で勉強をして、自分で道を切り開いていく」という力のことを指しています。いま-みらい塾では、子供たちに自伸が身につくようなコンテンツを提供しています。
では、普通の勉強の内容を教えているわけではないんですか?
StartUp CEO石川
歌崎
はい、塾では勉強内容を教えるということはほとんどしません。勉強内容を題材にしつつ、そこからいかに自分自身で成長できるのかを教えています。自分で伸びていくための方法、まさに自伸ですね。その力さえつけば、もはや学習塾は必要ないと考えているので、そういった自伸が身についた子供たちには卒業してもらうようにしています。
確かに、自分で伸びていく、学習する力さえつけば、塾に通う必要性はないですもんね。それにしても卒業までさせてしまうとは…驚きです。収入面が安定しないように思われるのですが…。
StartUp CEO石川
歌崎
おっしゃる通りで、卒業生を出し過ぎた結果、ホームレスになったこともあります(笑)。ですが、やはり勉強方法だけを子供たちに教えても意味がないと思っているんですね。初めの方は勉強方法だけを教える一般的な学習塾を運営していたんですが、子供たちと向き合うほど、その不十分さに気づかされました。
具体的にはどういった背景があったんですか?
StartUp CEO石川
歌崎
学習塾に来る多くの子供たちは、「親が勉強させるため」に嫌々塾にきます。つまり、勉強したいと思っていないんですよね。そもそも子供たちが心の底から勉強したいと思っていないのに、効率的な勉強方法を教えたところで意味がない。それを実践することもできません。だから、まずは勉強を心の底からやりたいと思える環境を作ってあげること。そしてそのためには、親御さんの協力が必要不可欠だという結論に至りました。
子供ではなく、親御さんに問題があったということですか?
StartUp CEO石川
歌崎
子供が「勉強をしたくない」と思う理由の大半は、親からの押しつけです。自分の価値観や理想を良かれと思って子供に押し付けてしまっています。それらはいずれも、親御さんたちの経験から導き出されたものばかりです。しかし、時代は絶えず変わっていますし、親と子供は全く別の人間です。価値観が違います。まずは親が変わらなければならない。時代が変わり、価値観が変わり、全く別の人間を相手にしているということを理解しなければいけない。子供が自由になるために伝えていたことは、子供から自由を奪っている行為であることを理解してもらう。それがいま-みらい塾ではじめに行うことです。
子供が自分で成長する力をつけるために、まずは親御さんを変えていく。一見遠まりに見えるようでも、理に適っている方法かもしれないですね。
StartUp CEO石川
歌崎
そうですね。開講当時に抱いた「自分の経験が社会の役に立つ」という気持ちを達成するためには、勉強方法を教えるだけではなく、子供を取り巻く環境を変え、そして子供たちの気持ちを変えて行ってあげることが重要なんだと考えています。
社会に出ても勉強においても、重要な力は「挑戦」と「改善」。”はやべん”で子供たちのマインドが変わる。
そんな革新的ないま-みらい塾から誕生した「はやべん」というアプリに関してお伺いしたいと思います。そもそも、はやべんとはどういったアプリなのでしょうか?
StartUp CEO石川
歌崎
はやべんは、早押し学習クイズアプリです。公式LINEのトーク画面からwebアプリへと繋がり、さまざまな問題がクイズ形式で表示されるようになっています。暗記科目は非常に機械的で、勉強が作業のようになってしまうため、面白味に欠けます。そこで、速さを競うという「挑戦」の要素と、間違った問題だけを表示してくれる「改善」の要素を盛り込むことで、ゲーム感覚で勉強ができる仕様です。
なるほど、勉強のなかにゲーミフィケーションを取り入れているんですね。
StartUp CEO石川
歌崎
その通りです。ゲームをしている人の脳は、挑戦することで活性化され、報酬により快楽を得ます。それをそのままゲームの中に取り入れることで、子供たちがゲーム感覚で勉強をする環境を作り上げました。
すごく面白いですね。はやべんを作ろうと思ったきっかけは何だったんですか?
StartUp CEO石川
歌崎
キッカケとなったのはマネタイズの部分ですね。いま-みらい塾は、ビジネスモデルとして完全に破綻しています。自伸が身についたら卒業させてしまうので(笑)。しかし、子供たちに自伸をつけさせることを継続して行うには、収益化が必要でした。そこで、事業を存続させるために、アプリの開発に踏み切りました。
しかし、マネタイズ目的だったとしても、いま-みらい塾が掲げる理念に近いものをアプリからも感じます。アプリを通じて作りたい世界観はあるんですか?
StartUp CEO石川
歌崎
12年間サラリーマンをしてきましたが、やはり社会でも勉強でも、共通して重要なのは「挑戦」と「改善」でしょう。しかし、従来の学習塾では、単に成績が上がるだけの勉強方法を教えるに止まっています。それでは意味がない。巷で叫ばれる「使えない東大生」を量産してしまうだけです。だからこそ、「挑戦」と「改善」のマインドを持つ子供たちが増え、自伸できる力を持つ子供たちで溢れれば、世の中から学習塾は消えていくのではないかなと考えています。それこそ、アプリを通じて作りたい世界観に繋がりますね。
学習塾を無くす。とても壮大な話に聞こえますね。
StartUp CEO石川
歌崎
そうかもしれません。しかし、はやべんというアプリを通して、学ぶための心構えや、実際の学びを得てくれる子供たちが増えていけば、これからの日本も発展していくのではないでしょうか。
挑戦するから自由が生まれる。”いま-みらい塾”や”はやべん”が伝える成長哲学。
では最後に、歌崎さんの今後についてお伺いしたいと思います。塾やアプリ以外にも、今後行っていきたいことはございますか?
StartUp CEO石川
歌崎
講演会やコーチングも並行して行っていきたいと考えています。いずれも、僕が持っている成長哲学を伝えるために行いたいですね。
成長哲学ですか。詳しくお伺いしたいです。
StartUp CEO石川
歌崎
いま-みらい塾もはやべんも、僕自身が持っている成長哲学を伝えるために行っています。この成長哲学は、「挑戦した時点で、そこには成長が残る。」というものです。挑戦したいけど挑戦できない人の多くは、挑戦の先にある失敗に囚われています。しかし、失敗というのは、あくまでも他人が行う「評価」の観点です。外から見た一般的な内容から成否を判断しているに過ぎません。
おっしゃる通りだと思います。他人の目が気になり過ぎているということですよね。
StartUp CEO石川
歌崎
そうなんです。しかし、考えてみてください。仮にその挑戦が失敗だという評価を受けたとしても、その挑戦から課題が発見され、その課題に向き合えば成長できます。考え方を変えれば、挑戦している時点で成長しています。成功したならば、明確に成長しています。つまり、挑戦をすれば、その後に残るのはいずれも成長なんです。
確かに。間違いないですね。
StartUp CEO石川
歌崎
僕自身は、京都大学を目指したときも、塾を開講するために独立したときも、行ったことのないアプリを開発したときも、常に挑戦してきました。その度に外から「絶対にうまくいかない」と言われ続けてきましたが、現在はこうしてアプリの開発を大手企業と行うことができ、企業に講演をするようにもなっています。つまり、今の挑戦は、未来で評価されるということです。今の評価は何のあてにもなりません。人の目を気にせず、何事にも挑戦して成長していけば、やがて未来で評価されます。だから、常に挑戦し続けてほしい。僕はこの成長哲学を、多くの人に伝えたいと考えています。
挑戦の大切さが身に染みるお言葉でした。歌崎さん、本日はありがとうございました!
StartUp CEO石川