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目指すは「Choiceful(チョイスフル)な働き方」~働く人たちが自分で選べる世界を作る~

「パソコンで作業したいけど、ちょうどいいカフェが見つからない」

リモートワークをしている人なら、誰しも感じたことのある悩みではないでしょうか。
そんな悩みを解消するために、三井物産のグループ会社「Moon Creative Lab(以下、Moon)」から、あるサービスが誕生しました。

それが今回の記事で紹介する「Suup」です。

今回は、Suupを生み出した堀口さん、南原さんをお迎えして、Suupとはどういうサービスなのか、どういった経緯からSuupは誕生したのか、そしてお二人が目指す「Choicefulな働き方」についてお伺いしました。


Suupサービス概要
Suupインスタグラム
堀口さん(左):新卒で三井物産に入社。その後、グループ会社であるMoonへ出向。飲食店の空きスペースをワークスペースとして有効活用するサービス「Suup」を立ち上げる。

南原さん(右):大学在学時に学生起業をし、在学中に事業譲渡。新卒で三井物産に入社。堀口さんと同じく、Moonに出向し、「Suup」の立ち上げを行う。

同じ会社で、同じ寮。そんな仲良しで新規事業立ち上げを決意。

今日はよろしくお願いします。お二人とも同じTシャツを着られているんですね(笑)。
StartUp CEO石川
StartUp CEO石川
堀口
堀口
そうなんですよ(笑)。同期で、同じ会社の寮出身なんで、とても仲良しです。
そうだったんですね!まずはお二人の自己紹介をお願いしてもいいですか?
StartUp CEO石川
StartUp CEO石川
南原
南原
はい。南原と申します。三井物産株式会社のグループ会社「Moon」に所属しています。

新卒で三井物産に入社し、Moonが立ち上げになるタイミングで出向し、現在はSuupというサービスの立ち上げに従事しています。

学生時代に自分で会社を立ち上げて、三井物産に入社する前に譲渡した経験があります。

ありがとうございます。では、堀口さんお願いします。
StartUp CEO石川
StartUp CEO石川
堀口
堀口
はい、ありがとうございます。と言っても、南原と全く同じなんですけどね(笑)。

南原と同期の堀口と申します。私も新卒で三井物産に入社し、その後Moonに出向して、Suupの立ち上げを行っています。

ありがとうございます!同期で、同じ寮に住んでいたら仲良くなりますよね(笑)。その流れで、新規事業の立ち上げも一緒に行おうということになったと。
StartUp CEO石川
StartUp CEO石川
南原
南原
そうですね(笑)。「一緒にチャレンジしようぜ」ということで、Moon主催の新規ビジネスアイデアのピッチイベントに参加しました。

「働く」への強い原体験からSuupの構想が生まれた。

Moonへ出向するにあたって、最初からSuupのアイデアを持って臨んだんですか?
StartUp CEO石川
StartUp CEO石川
堀口
堀口
いえ、最初は全くアイデアを持ってませんでした。「とにかく起業に挑戦したい」という想いだけでしたね。
南原
南原
私も同じですね。学生起業を経験していたのもあって、「また新しい事業をやっていきたい」という気持ちはずっと持っていました。そんな中で堀口と出会い、何か新しいことに挑戦しようという話をずっとしていたんですよ。
なるほど、そうだったんですね。そこからどのようにしてSuupの事業化へと進んでいったんですか?
StartUp CEO石川
StartUp CEO石川
南原
南原
入社後も起業は意識していたのですが、ちょうどそのタイミングで、三井物産の社内起業制度が一新されたんです。

それで生まれたのがMoonでした。Moonが設立されるにあたって、「アイデアが採択されたら、Moonのエンジニアやデザイナーとチームを組成し、プロトタイプを繰り返し作りながらビジネス開発をしていく」ということを聞き、「これしかない!」と2人で話して、アイデア探しを始めました。

堀口
堀口
提案するビジネスアイデアを作るにあたって、2人の中でルールを決めていたんです。「自分自身が当事者として感じたことのある課題をアイデアにする」というものです。そのルールの中、ブレストしていき出てきたアイデアの1つがSuupだったんです。
なぜそのようなルールを設けたんでしょうか?
StartUp CEO石川
StartUp CEO石川
南原
南原
実際に事業として回していくことになったときに、自分たちの熱量やモチベーションが燃え続けるものでないとダメだと思っていたんです。

「絶対に解決したい!」と思える課題を事業にすることで、心の底からコミットできると考えていたので、そのようなルールを作っていました。

ちなみに、お二人の中でどのような不満がSuupに繋がっていったんですか?
StartUp CEO石川
StartUp CEO石川
堀口
堀口
いつも仕事終わりにブレスト大会をしていたんですね。

ただ、仕事終わりだと時間も限られているんで、「休日に都内のカフェに集まってブレストの時間を設けよう」ってことになったんです。

ただ、30分ほど探しても空いているカフェがなかったんですね。どのお店も満席で。そのときに「これって、みんなも不満に感じているんじゃないか?」って思ったんです。

家やオフィス以外の場所で作業したいと考えている人はたくさんいると思うんですが、本当にどこも空いていないんですよ。その瞬間に「これだ!」と思いましたね。

では、お二人が持つ原体験から今のSuupが生まれたということですね。
StartUp CEO石川
StartUp CEO石川
南原
南原
おっしゃる通りです。時代の背景もあって、働き方は多様化している。でも、それを取り巻く環境が伴っていないことに、もともと課題は感じていたんです。それも相まって、このSuupのアイデアに着地し、今に至ります。

世界の働き方を目の当たりにしたとき、日本の「働く」は縛られていることに気がついた。

Suup誕生の背景についてよくわかりました。では、Suupというサービスを通じて、お二人はどのような課題を解決していきたいと考えていますか?
StartUp CEO石川
StartUp CEO石川
南原
南原
Suupというサービスで、働く場所に関する制限を解消していきたいと考えています。

先ほどもお話しした通り、リモートワーカーが増えて、働き方の多様化が進んでいるにもかかわらず、それを取り巻く環境が追いついていないように感じます。

「働く場所が見つからない」というのもそうですし、逆に「オフィスで働かなければならない」という会社も見られます。Suupでは、そのような仕事に対する「場所」の制限を取り払っていくことを目指しています。

確かに、リモートワークが推奨されているのにもかかわらず、出社している人が減っていない会社もあるように感じますよね。
StartUp CEO石川
StartUp CEO石川
堀口
堀口
おっしゃる通りですね。Suupの立ち上げをする前にMoonの本社である米国シリコンバレーのパロアルトに4ヶ月ほど滞在しました。

そこにいる人たちの「生き方」や「働き方」についてリサーチをしていたんです。そこで待っていたのは、大きな衝撃でした。「こんなにもワクワクして、生き生きと働くことができるのか」という気持ちになりましたね。

海外の働き方を目にしたときにそのように感じたのは、お二人が日本で働く中でそのように感じることが少なかったから、という理由からですか?
StartUp CEO石川
StartUp CEO石川
堀口
堀口
私たち自身が仕事にワクワクしていなかったことはないと思うんですが、やはりシリコンバレーで働く人たちには仕事を通じて自己実現しようする姿勢がより一層見えました。

日本では必ずしもそうではない人も多く、つらいことでも我慢して頑張ることが美徳という風潮もありますよね。そういう仕事に対しての考えがあったからこそ、シリコンバレーで働く彼らが輝いて見えたんだと思います。

シリコンバレーで働く方々と日本で働く方々のギャップにあるものは場所以外にもあるように思われますが、それ以外の部分にアプローチしていかないのでしょうか?
StartUp CEO石川
StartUp CEO石川
南原
南原
もちろんしていきます。「働く」ということには、時間も場所も、仕事内容も、一緒に働く人も関係しています。

日本の場合は、その全てに縛りがあるように感じました。定時に出社しなければいけなかったり、上司を選べなかったり、本当にやりたい仕事につけていなかったり。

そういったさまざまな環境要因の中で、最も早く解消できると思ったのが場所に関する課題だった。だから私たちはSuupというサービスを使って「働く場所の縛りを無くす」ことを目標に現在動いています。

目指すは「Choiceful(チョイスフル)な働き方」。働く人たちが自分で選べる世界を作る。

お二人はSuupというサービスを広めていった先に、どのような世界を描いていますか?
StartUp CEO石川
StartUp CEO石川
堀口
堀口
「働く」ということが自由になっている状態を目指しています。私たちがよく使う言葉だと「Choicefulな働き方」です。場所も、時間も、仕事内容も、全てを自分の意思で選択できる世の中にしていきたいと考えています。
昨今の社会だと、「どんな仕事をするのか」が議題の焦点になりがちですよね。
StartUp CEO石川
StartUp CEO石川
南原
南原
そうなんです。今の日本だと、「本当にやりたいこと」を仕事にできていたとしても、それを取り巻く義務や制限のせいで、その仕事が楽しいものじゃなくなってしまっている。

会社への出社義務や出社時間などがまさにそうですよね。これだけインターネットの力が普及しているのに。縛らなくても仕事が成立する世の中になってきているのに。

堀口
堀口
そう。だからこそ、まずは働く環境からアプローチしていくことにしました。

それに加えて、Suupというサービスを作り上げていく過程で、多くの飲食店さんとのつながりも増えて。その結果、見えてくるものもありました。

飲食店を経営しているオーナーさん達って、誰よりもお店に来るお客さんのことを考えてるんですよ。「どうしたら最高のおもてなしができるんだろう?」って。

そういう人たちと接していると、彼らのことも絶対に幸せにしたいと思えるようになりました。今、多くの飲食店が、時代背景的な危機に立たされています。お客さんが減ってしまっています。どうにかして、Suupでその課題も解決できるようにしたい。そんなふうに考えています。

僕もよく外食をするんですが、回りの飲食店が次々と閉まっている現実を目の当たりにして、悲しい気持ちになります。具体的に、Suupからどのような形で飲食店の方々を幸せにしていくんでしょうか?
StartUp CEO石川
StartUp CEO石川
南原
南原
外食って本当に素敵な文化だと思ってるんですね。どこのお店にいくのか決めている間も楽しいし、料理やお店の雰囲気にもこだわりを感じることができるし。

掛け替えのない文化だと思っています。そんなお店を選ぶ感覚で、「Suupを使えば働く場所も楽しく選ぶことができる」状態を目指しています。

Suupを使って、「働くため」にお店に来たとしても、雰囲気やサービスがよかったら、「今度は食事のために来てみよう」と思ってもらえると思うんです。

飲食店の席が空いている時間も有効活用できますし、今度は食事を楽しむためのリピートにもつながる。Suupを使うことで、働く人も、飲食店も幸せになれる。そんな世界を実現していきたいと考えています。

飲食店の空きスペースを利用し、時間単位で働く場所に変えるサービス「Suup」

では最後に、Suupというサービスについてご紹介いただいてもよろしいでしょうか?
StartUp CEO石川
StartUp CEO石川
南原
南原
はい。Suupは飲食店の空きスペースを、時間単位で働く場所に変えるサービスです。ユーザーはSuupのアプリを開くと、近場でワークスペースとして利用できる飲食店を調べることができ、時間単位で予約をして利用できます。

Suupが普及することで、スポットで利用できるコワーキングスペースがあらゆる場所に誕生するイメージですね。

なるほど。確かに、作業ができるカフェを探しても、空いているかどうかわかりませんし、充電のコンセントやWi-Fiの有無を調べるのも、毎度苦労しますよね。

それをアプリで簡単に知ることができるのはとても魅力的ですね!

StartUp CEO石川
StartUp CEO石川
堀口
堀口
ありがとうございます。オフィスだけではなく、自宅で働くことが徐々に一般的になりつつあるんですが、やはり自宅で仕事ができない人もいると思うんですね。

ご家族と同居されていたりすると、どうしても集中できないこともあると思います。Suupでは、「あえて外で仕事をしたい」と思えるようなワクワクする場所を提供することを目指しています。

どれくらいの飲食店様にご協力いただいているのでしょうか?
StartUp CEO石川
StartUp CEO石川
南原
南原
現在、Suupはβ版としてローンチをしており、十数店舗にご協力いただいております。(2020年9月時点)

テストユーザー様に100名程度参加していただき、渋谷区を中心としたエリアで実証実験を行っている状態です。

また、正式なローンチを10月中旬に控えているのですが、すでに100以上の店舗様からご協力の旨をいただいており、好調な滑り出しです。

すでに100店舗以上の協力があるのは心強いですね!そういった店舗様はどのようにつながっていかれたのでしょうか?
StartUp CEO石川
StartUp CEO石川
南原
南原
初めは自分たちの既存の繋がりから開拓していきました。

そこから集客に課題を抱えている店舗様を紹介していただき、今では100店舗以上にまで増加していったという形です。

導入費用はいただいていませんし、店内に空きができたときだけ利用できるサービスなので、導入のお話を持っていったときに快く受け入れていただくケースが非常に多いです。

堀口
堀口
現在は十数店舗で実証実験をしているんですが、その中で多くのフィードバックをいただいています。

そのフィードバックが、自分たちだけでは全く気づけないようなものばかりで。Suup自体はオンラインのアプリですが、「お店での働く体験」がサービスの肝になる以上、いかに店舗スタッフの皆様に使ってもらいやすいものにするかが本当に重要なんです。

そのうえで、普段からお客さんと接している店舗スタッフの皆様からのFBはとても貴重なものになっています。

いろいろな飲食店様と一緒に、Suupというサービスを作っているイメージですね。
StartUp CEO石川
StartUp CEO石川
南原
南原
まさに。常に新鮮なFBをいただくことができる状態にあるので、β版から正式なローンチまでに、さらに進化したSuupをお届けできると思います。

FBの中には、「Suupで来店してくださったお客様専用のメニューを作ったらどうか?」というユーザー体験を高めるご提案もあったりで、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。

堀口
堀口
接客のプロからアドバイスをいただいて、私たちがサービスに落とし込んでいるイメージですね。

大企業で経験する大きな仕事では、未完成のままマーケットにサービスを落として、それを改良していくというプロセスを日頃とらないので、店舗様と一緒にサービスを作っていく過程がとても新鮮に感じます。

大企業が社内起業制度を設けているケースは非常に少ないと感じているんですが、その中でも御社の事業の進め方は珍しいんじゃないですか?
StartUp CEO石川
StartUp CEO石川
堀口
堀口
かなり珍しいと思います。大企業で何か事業を始めたり施策を打ったりする際は、綿密な計画を練り、社内で仮説検証を繰り返して、なるべく完成度の高い状態でマーケットにサービスをローンチするように思います。

一方Suupでは、完璧な状態でなくてもいいので早めにテストして、早めにフィードバックをもらってその都度修正するアプローチをとっています。

南原
南原
さらにMoonでは、エンジニアやデザイナーを内部に抱えてSuupの制作に取り組んでいます。一般的な大企業が社内起業制度を設けたとしても、その制作は外部に委託しすることがほとんどでしょう。私たちは基本的には内製する方針です。コミュニケーション速度も落ちませんし、PDCAを高速で回していくことができます。大企業のグループ会社という立ち位置ですが、スタートアップに近い事業展開をしているのではと思います。
社内起業制度を設けている企業様には、ぜひ知っておいてもらいたい側面ですね!と言っても、なかなかそれを実現するのが難しいんだと思いますけど(笑)。南原さん、堀口さん、本日はお時間いただきまして、ありがとうございました!
StartUp CEO石川
StartUp CEO石川


Suupサービス概要
Suupインスタグラム