まずはここから!スタートアップシード期における資金調達方法を徹底解説

スタートアップのシード期というのは、一般的に起業前の状態を表しており、サービスのリリースを準備している段階であることから一度に大量の資金を集める必要はありません。

とはいえ、会社の登記費用やサービスのマーケティング費用、そして人件費などの最低限の資金調達は必要になります。

スタートアップにとって、シード期の資金調達がうまくいくかどうかで、今後のスタートアップ事業が成功するか失敗するかの第一の分岐点とも言うことができます。

ここでは実際にスタートアップのシード期における資金調達をする方法を、注意点を交えながら解説していきます。

資金調達の重要性

スタートアップには必ずと言っていいほどお金がかかります。

会社の登記費用に始まって、事務所の賃料や設備費、そして光熱費や通信費などの細かい経費を積み重ねると、思っている上に費用がかかることがわかります。

スタートアップのシード期は社会的な信用がないために、取引先への支払いは素早く行わないとあっという間に信用をなくしてしまうことになります。

シード期に計画的な資金調達を行うことによって、その後のスタートアップ事業をゆとりを持って進めていくことができるようになります。

シード期の資金調達の金額目安


スタートアップシード期の資金調達の内容は

  • 初期投資
  • 運転資金

があります。

初期投資と運転資金について

「初期投資」とは、スタートアップのために必要な設備の購入、事務所の契約料・賃料など、シード期には絶対に必要となる資金です。

  • 「運転資金」は、スタートアップ事業を継続的行っていくために必要な資金で「固定費」「変動費」の二つがあります。
  • 「固定費」とは毎月必ず発生する経費で、人件費、賃借料、通信費などがあります。
  • 「変動費」とは売上の増減に比例して増減する経費で、商品原価のことをさします。

まずいくら調達すれば良いか

シード期の資金調達目安は、スタートアップの規模にもよりますが、500~1000万円程度が一般的です。

売上が運転資金を上回ることで初めて余裕資金が生まれますので、売上が運転資金を超える段階になるまでのシード期は、ある程度まとまった資金調達が必要となります。

スタートアップ全体の中では、シード期が資金調達の目安としては一番少ない段階です。

現在の資金はどれくらいかを確認

シード期の資金調達は融資や投資のみで100パーセントの割合にするのではなく、自己資金も用意しておきましょう。
資金調達の際に、自己資金がどのくらいあるかを問われるケースもあるからです。

シード期の資金調達に要する時間

日本政策金融公庫からの借入をする場合は、融資に必要な書類を提出後に担当者との面談を行う必要があります。
その後審査が行われますが、標準的な審査期間は約2週間です。

審査が終わって実際に資金が手元に入るのは1か月後を目安に置くと良いでしょう。

もちろん2週間以上の時間がかかるケースもあります。

繁忙期で順番待ちが生じるケースや、スタートアップのビジネスモデルが複雑で担当者がすぐに理解できないケース、そして書類に不備があった場合などは審査に時間がかかることもありえますので注意してください。

スタートアップのビジョンは決まっているか

スタートアップに明確なビジョンがないと、融資担当者の共感を得ることができません。

どのように社会の役に立つか、そしてわかりやすいかが大事です。

もし複雑なビジネスモデルである場合は、初心者でもわかりやすい言葉でビジョンを伝えられるようにしておきましょう。

リサーチはできているか

融資の段階でリサーチ内容が間違えていると、その後のスタートアップ事業に大きな影響が残ってしまいます。

シード期にはきちんとマーケティング調査を行っているかとは思いますが、もう一度そのリサーチ内容にズレがないかをチェックしましょう。

シード期の資金調達の方法


シード期においては多額の資金を必要とするケースは少ないので、自己資金や親族から資金を借りて運転資金とする場合が多くなります。

しかし、まとまった資金を調達するためには限界があり、その後のスタートアップの成長を視野に入れ、シード期の段階で計画的な資金調達を考えておくのが良いでしょう。

公的資金を利用する

スタートアップシード期の資金調達は、まずは公的資金である日本政策金融公庫からの融資が第一候補にあがります。

金利も民間の金融機関よりも低く、スタートアップ事業に対して担当者からのアドバイスももらうことができるため、今まで気づかなかった第三者目線でのアイデアが浮かぶこともあります。

融資は最高3,000万円(うち運転資金1,500万円まで)まで受けることができます。

日本政策金融公庫は無担保無保証人の借入ができるため、スタートアップのシード期においては大変ありがたい存在です。
ただ、審査の際に個人の資金残高はチェックされます。

自己資金として最低でも100万円程度用意しておくと良いでしょう。あまりにも金額が低いと審査担当者がOKを出したがらない傾向があります。

周囲からの資金援助を含めて300万円あれば審査が通りやすい傾向があります。

金融機関から借り入れる

銀行などの民間の金融機関から融資を受けることも資金調達の候補にあがります。

ただ、スタートアップ、特にシード期は社会的信用がまだ確立されていないために審査に通るのが難しいといったデメリットもあります。

金融機関の中でもメガバンクだけでなく、地方銀行や信用金庫などの地元密着型の金融機関であれば、地元のスタートアップを応援してくれる傾向があります。

また最近は、ネットバンクなどでもスタートアップ融資を行っているところもあります。

投資家の援助を受ける

スタートアップ時に人脈を作った中に投資家の方がいれば、援助をお願いする方法もあります。

投資家には大きく分けて個人投資家、機関投資家、海外投資家の3種類がありますが、その中にはスタートアップを専門に支援するシード投資家という人たちがいます。

シード投資家は、個人で投資を行うエンジェル投資家とベンチャーキャピタルとして組織で投資を行う機関投資家がおり、ベンチャーキャピタルの投資額は個人投資家に比べて多額になります。

ベンチャーキャピタルは10億円〜100億円規模の投資を行うため、スタートアップの金額としては少々大きすぎるかもしれません。

まずはハードルの低いエンジェル投資家に支援をお願いするのが良いでしょう。

投資金額は一般的に、100万〜1,000万円程度です。

将来の成長性にかけて投資をすることでリターンを得ることを目的として投資をしますが、スタートアップビジネスに純粋に共感して投資をしてくれる投資家もかなりいます。

スタートアップの事業を応援してくれる投資家と巡り合うことで、資金調達に大きな力となります。

エンジェルに投資してもらうときの注意点として、ビジネス的な投資を行っている投資家よりも、スタートアップに共感してくれる投資家を選びましょう。

また、ごく稀にですが反社会体制の投資家も存在しますので、反社チェックは必ず行いましょう。

そして、投資契約は必ず締結してください。

最近は、投資契約書を締結することが一般的ですが、時々口頭だけで投資をしてくれる人もおりますが、書面を必ず残すようにしましょう。

最初のうち順調でも、将来何か問題が起きた時に書類がないと痛い目に遭います。

投資家に知り合いがいなくても、ラウドファンディングを利用する方法があります。

インターネット上で検索すると、数多くのクラウドファンディングを見つけることができます。

ただ、顔見知りの投資家と違って顔が見えない投資のお願いとなるため、ビジネスのビジョンをわかりやすく伝えられる必要があります。

シード期における資金調達のための準備


シード期における資金調達のための準備としては以下の3点があげられます。

スタートアップの計画資料

ビジネスモデルの資料を作成しましょう。

公的資金を利用する場合でも投資家に支援をお願いする場合でも必ず資料は必要になります。

可能であれば文字だけでなく、画像も入れた資料を作成し、初めて見た人でも理解できるような内容にしておきましょう。

法人登記と法人口座の開設

法人登記を済ませ、法人の口座を開設しておきましょう。

融資を受ける際は登記と銀行口座があることも信用の一つになります。

個人でスタートアップを行う場合でも、開業届を税務署に提出することが前提です。

契約知識

契約の知識を身に付けましょう。

いろいろな人が関わることによって、契約の段階で書類が抜けてしまったというケースは多々あります。

口頭約束は必ずと言ってもトラブルになりますので、紙の書類がすぐにできない場合でも、メール等の文字として残しておくだけでも違います。

また、契約書には収入印紙が必要になります。

自分と投資家だけで交わす書類だから印紙は貼らなくても大丈夫、などと考えるのは危険です。

最悪の場合脱税行為とみなされ、追徴課税になってしまうこともあります。

以上の内容を含め、契約を疎かにしないように気をつけてください。

まとめ

スタートアップシード期に資金を調達するための方法は、一般的に次の4点が挙げられます。

  • 1.政府系金融機関の日本政策金融公庫から融資を受ける
  • 2.銀行などの民間の金融機関から融資を受ける
  • 3.投資家から資金調達する(クラウドファンディング含む)
  • 4.消費者金融などのノンバンクから借入する
このうち、お勧めできるのは3までです。消費者金融は利息も高いためにリスクを背負うことになります。

スタートアップシード期における資金調達としては検討せず、本当の最終手段と考えておきましょう。

融資を受けるためにはスタートアップのビジネスアイデアが明確であることと、融資を受けるために接する人との礼儀なども重要です。

基本的なことではありますが、もう一度肝に銘じておきましょう。

また、計画的にシード期を進めていくために、融資の申し込みから実際に資金が手元に入るまでには時間がかかることを理解しておきましょう。