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「短期成功のスタートアップ」と「長期安定のベンチャー」!あなたが始めるのはどっち?

一昔前とは異なり、今では誰でも起業できる時代になりました。実際に、20代の若い起業家が増えています。彼らが作る会社は、「スタートアップ」「ベンチャー」などと呼ばれています。

これらは近年よく使われる言葉ですが、その違いはなんでしょうか。また、あなたが起業を目指してるとすれば、どちらがあなたのイメージしている会社にマッチしているでしょうか。

  • 「スタートアップとベンチャーの違いって何?」
  • 「自分が作りたいと思っている会社はどっち?」

本記事では、このような疑問にお答えしたいと思います。

要点まとめ
✔︎スタートアップとは、全く新しいビジネスモデルを超短期間で急成長させ、売却することを目的としている企業である
✔︎ベンチャーとは、既存のビジネスモデルをベースにした事業を、中長期的に育てていくことを目的としている企業である
✔︎「目的」「ビジネスモデル」「組織形態」を考慮すると、あなたが起業するのはどちらがマッチしているかが分かる

スタートアップとベンチャーの違い


「スタートアップ」は、アメリカのシリコンバレーで生まれた言葉で、今では世界共通の概念です。

それに対して「ベンチャー企業」とは和製英語です。英語で「ベンチャー」は、「ベンチャーキャピタル」などの投資をする側の企業や人を指します。つまり、日本で使われる「ベンチャー企業」という言葉は、かなり定義が曖昧であるという前提をご理解ください。

目的(短期と長期)

スタートアップの目的は、短期間で急成長し、EXIT(エグジット)することです。
EXIT(エグジット)とは、株を売却することでそのスタートアップの創業者、および投資を行ったファンドが利益を確定させることですので、最初からそのビジネスモデルを売却する前提で、スタートアップを起業するケースが非常に多いです。

それに対しベンチャーは、原則中長期的な経営を目指します。従って、スタートアップのように短期間の急成長を狙った計画も立てません。

ビジネスモデル(革新と既存)

スタートアップのビジネスモデルは、市場を切り拓くような前代未聞のものでなければいけません。いわゆる「イノベーション」です。
この要素は非常に重要で、そのビジネスモデルが革新的なものでない場合は、スタートアップと呼ぶことはできません。
従って、スタートアップを起業することは、ゼロからビジネスモデルを生み出すことから始まります。

一方でベンチャーも、比較的新しいビジネスモデルであることが多いですが、全くオリジナルのものではありません。何か既存のビジネスモデルを参考して、作り出されています。

組織形態(即席と構築)

スタートアップは、革新的なビジネスモデルをゼロから作り、それを短期間で成功させて売却することを目指しています。
従って、チームメンバーは全員が即戦力になれるような、少数精鋭の若者で形成されていることが多いです。いわゆる一般的な「採用」のような工程は存在せず、同じ目標を持つ人たちで集まった即席の一時的な組織です。

かたやベンチャーは、既存のものをベースとした比較的新しいビジネスモデルを、中長期的に経営していくことを目指しています。スタートアップと同様に企業としての歴史は浅いため、生き残るために能力がある若者が求められています。
しかし、原則は長期的な目標を達成するために、バランスの取れた組織を重視しています。採用などは、通常の中小企業と同様に行います。

スタートアップとベンチャーの共通点


次に、スタートアップとベンチャーが混同されてしまう原因になっている「共通点」をご紹介します。

設立年数

程度の差はありますが、どちらも「新しいビジネスモデル」に挑戦しています。従って、「起業されてからの設立年数は少ない」という共通点があります。
またそれに伴い、大企業と比べて福利厚生などの社内制度が整っていない場合が多いです。

なお、「設立から3年以内はスタートアップ、それ以降はベンチャー」という考え方もあります。
しかし、冒頭で述べた通り、ベンチャー企業に明確な定義がありません。従って、これはあくまでも一つのイメージです。

メンバーが若い年齢層

「新しいビジネスモデル」を実践するために、最新のテクノロジーなどを扱う必要があります。従って、組織を構成するメンバーは、比較的に若い年齢層で形成されています。
古い価値観や文化などに捉われない、活気が溢れる自由な空気感を持つ企業が多いです。

なお、「メンバーが少ない場合はスタートアップ、多いの場合はベンチャー」という考え方があります。
しかし、これは「設立年数」同様、厳密な決まりはないためあくまでも一つのイメージに過ぎません。

有名なスタートアップ・ベンチャー企業

スタートアップ・ベンチャーを代表する、世界と国内の企業をいくつかご紹介します。

世界
・アメリカ / Epic Games(大人気ゲーム「Fortnite」の開発元)
・アメリカ / Airbnb
・中国 / Bytedance(2018年世界No.1ダウンロード「TikTok」の開発元)

国内
・スマートニュース株式会社(スマートデバイスに特化したニュースアプリ「SmartNews」の開発元)
・freee株式会社(クラウド会計ソフトウェア「freee」の開発元)
・株式会社Campfire(クラウドファンディングサイト「Campfire」の開発元)

他にもたくさんの企業が存在します。
詳しくは、「ベストベンチャー100」「国内スタートアップ資金調達金額ランキング」などをご覧ください。

3つの質問でわかる!あなたが始めたいのはスタートアップorベンチャー?

3つの質問に答えることにより、あなたが始めたい会社が「スタートアップ」なのか「ベンチャー」なのかが分かります。

A: 一つのビジネスをずっと突き詰めるよりも、早くお金を作って次々と新しいものに挑戦していきたい
B: 一つのビジネスモデルをしっかりと構築し、安定的に稼ぎ、長期的に会社を成長させていきたい

A: たとえ失敗するリスクが高くても、誰も挑戦したことがない未踏の分野で起業したい
B: 新しいことには挑戦したいが、失敗するリスクは低い方がいい

A: チームは「長期的な仲間」というより、一時的でも良いので「目標達成するために集まった有力者」で構成したい
B: チームは「即席の実力者」というより、「長期的に一緒に働ける仲間」をしっかり選んで構成したい

Aを多く選択した人は「スタートアップ型」、Bを多く選択した人は「ベンチャー型」の人です。ぜひ起業をする際の参考にしてください。

まとめ

スタートアップとベンチャーは、「創立年数が短い」「メンバーの年齢層が若い」などの共通点はありますが、その定義は大きく異なります。

スタートアップとは、アメリカのシリコンバレーで生まれた言葉で、今では世界共通の概念です。
全く新しいビジネスモデルを超短期間で急成長させ、売却することを目的としています。市場を切り拓くような「イノベーションを起こしているか」ということが、非常に重要な要素になります。

その一方で、ベンチャー企業とは、和製英語であるため定義が少し曖昧です。
既存のビジネスモデルをベースにした事業を、中長期的に育てていくことを目的としています。

それぞれの特徴をしっかりと把握し、自分が始めたいのはどちらなのかを判断しましょう。