【知らないとやばい?】3種類の会社の設立を徹底解説

「起業するぞ!」と決意を決め、企画書を制作し、何度も練ったビジネスプランにもある程度の自信を感じられるようになった頃、次のステップとして”会社設立”という言葉が頭をよぎると思います。

「会社ってどうやって造るの?」「いろいろ手間と経費がかかるのでは?」

今回はその会社設立について、どんな種類があるのか、どのような手順を踏むのか、などの流れをお伝えしたいと思います。

会社設立は必要か?

いざ、「会社を作るぞ!」と思い立ってまず最初にチェックしなければいけないのが、一生懸命作成したビジネスプランがはたして会社設立を必要とするものなのか、又は会社設立する事に利点があるのか、という点です。

多くの場合が会社設立した方が利点があるケースが多いでしょうが、場合によっては個人でやった方がよいというケースもあるので、まずは会社設立のメリットとデメリットを見ていきましょう。

会社設立のメリット

会社設立の大きなメリットは「信用と帳簿(税金)」です。

まず何と言っても会社を設立しきちんとした法律に基づいた団体になると社会的信用を得られるという事です。 

小林
小林
私はフリーランスにて海外でコンサルティング業をやっています。

あるクライアントの案件で海外から高級車のパーツを購入する販売ラインを築こうと現地の会社に問い合わせたところ、法人登録をしてその車の会社から認定を受けてないと売れないと言われてしまいました。

小林
小林
もう1つの例として、掃除ビジネス(オフィスなどの掃除代行)をやっているクライアントの案件にて新規の違った清掃方法をやろうと、クリーニングで利用するある特殊の業務用洗剤を購入しようとしました。

そのクライアントは私と同様、個人でやっている個人事業主であった為、販売はできないと断られてしまいました。

両方の例は信用というより業界の規制や会社の方針によるものかと思いますが、それがなくても、会社設立をしてないと、この様なケースになる可能性は十分にあります。

もう1つのメリットは帳簿(税金)面での優遇です。
会社になる訳ですから、ビジネスを運営するにあたっての支出が経費として返上でき、その分税金額を計算する上で有利になります。

個人で運営していると経費として返上できない支出も会社としてならできるという項目もあります。例として生命保険、火災保険、退職金、各種手当などです。

会社設立のデメリット

一見魅力的に見える会社設立ですが、売り上げや事業規模によっては、会社を設立するとデメリットもいくつかあります。それは、経費と税金、場合によっては経費で不利になる場合があるという事です。

まずは、会社設立というのは、法律手続きですから、それぞれの政府機関に手続きをしなければならず、その際に”手数料”なるものが発生します。(詳しい内容は下記の第3章をご参照ください。)

そして、資本金も準備しないといけないので、それらを全て含めると最低でも約数十万円から数百万円を用意しなければなりません。

そして、次に挙げるのが税金です。会社を設立した場合、個人の場合と違い、場合によっては赤字になっているのにもかかわらず税金の支払いが発生する場合があるという事です。

例えば、法人税、法人住民税、消費税は税務上の所得が黒字の場合(法人税)、赤字に関係なし(法人住民税)、課税売上が1,000万円を超える(消費税)などの場合に発生してしまいます。

やっぱり作りたい会社

最終的な判断は、会社設立のメリットとデメリットを初期段階のケースと、将来的なケースで見て分析し、最終的に決めてもらえばよいと思います。

しかし、上記からみると、最初の段階では個人でやっていて、ある程度ビジネスがうまくいった地点で会社設立するという選択肢でも良いのでしょうが、いずれにせよ、最終的には会社設立した方が恩恵は大きいように思えます。

上記のメリットにも記しましたが、何と言っても会社設立によって得られる”社会的信頼”はビジネスを運営していく上でとても重要な要素となるでしょう。

一度、ご自分がやっている・やろうとしている業界や関連会社に個人名義で取引できるかを聞いてみるのもよいかもしれません。

場合によっては会社設立していないとビジネスの話が進まないケースもあるかもしれません。

会社の種類

現在の日本では、会社となると3種類の会社があります。株式会社、有限会社、持分会社の三つです。

そのうち有限会社は平成18年(2006年)に制度が廃止され新規の登録はできなくなりましたので、ご注意ください。

株式会社

株式会社は、株式を発行し資本金を集めて運営を行う会社の事であり、資金を多く調達する事ができます。

以前は資本金1000万円以上という規定がありましたが、現在は1円から設立が可能になりました。
他の形態の会社と異なるのは、多くの株式を保有している出資者は、経営に参加する権利が与えられ、それに参加する取締役には任期があるという事です。

そして、株式会社は決算の広告義務があるので、一定期間ごと会社の経営状態や財務状態、ビジネスプランなどを発表する必要があります。

要するに会社の良い情報も悪い情報も外部に伝わりやすいという事です。よって他の会社形態より、社会信用度は高いです。

有限会社

上記にもお伝えしたように、有限会社は平成18年(2006年)に制度が廃止され新規の登録はできなくなりました。その前に有限会社として登録された会社は、そのまま有限会社として残る事ができますが、名称が、特例有限会社に変わりました。

有限会社と株式会社の大きな違いは、当時、株式会社側は資本金1000万円以上が必要だったのに対して資本金が300万円で設立できた(1990年前は10万円)、取締役員の任期に期限がない、決算の広告義務がないという点です。
多くの中小企業や家族企業などがこの制度を利用していました。

廃止となった背景には、会社法が改正された時に次にご紹介する合同会社という規定が設置されもっと会社設立へのハードルが下がったという点、株式会社の最低資本金額が下がったという点で、有限会社のメリットがなくなったのが大きな理由です。

持分会社

持分会社には、3種類の会社があり、合名会社、合資会社、合同会社があります。この3つの会社は、似たような形態なのですが、設立に必要な人数であったり、出資者の責任範囲に違いがあったりという点で異なるルールがあります。

設立に必要な人数が合資会社の二人(他は一人)、出資者の責任範囲が合名会社は無限、合資会社は有限又は無限、合同会社は有限という点がそれぞれ違うルールになります。

おそらく最近、良く聞くのが日本版LLCと言われている合同会社ではないでしょうか。
最近、起業する方に多く選ばれている形態です。

いずれにせよ、持分会社の特徴は、経営している人(人達)が、それぞれ出資し、持分を保有し、株式会社のように外部から口出しされる事もないという点です。

会社設立の手順

会社設立の手順と手続き方法は、下記の基本項目の設定と手続きは株式会社と持分会社にて同様のステップなので、まずは基本設定としてご紹介します。

基本項目の決定

まず会社設立の手続きを始める前に下記の事柄を決める必要があります。

  • 会社名
  • 事業目的
  • 資本金
  • 本社所在地
  • 発起人の決定と役員の選出とその人数(株式会社は必修、持分会社は任意)
  • 決算日・設立日の設定

会社名

最初で、おそらく一番重要でないかと思われる項目、「会社名」です。
もうすでにビジネスを始められてる方は決まっているでしょうが、念の為、下記の方法により同じ名前の会社が存在しないか確認しておいた方が、後々の法的問題にならない為にも良い策と思います。

社名の決め方ですが、これは子供の名前を決めるのと同じくらい重要で大変な作業と思い、会社設立の初期段階で悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
基本的に下記の名前の決め方の方法があると思います。

  • 自分達のビジネスを連想される名前
  • 自分の名目を含んだ名前
  • 何かの由来などからくる名前
  • トレンドからヒントを得た名前

基本的な方法は最初の2つではないでしょうか。

例えば、コンサルティング関係でしたら、「○○コンサルティング」とか、ファイナンス関係でしたら、「○○ファイナンス」と命名すれば、世間に自分達がやっているビジネスを簡単に分かってもらえるし、名前も覚えやすいと思います。

そして、自分や創業者の名前を入れるやり方も、覚えてもらうのに良い方法かと思います。
例えば、田中さんが経営している「田中商事」など。単調かもしれませんが、無難と言えば無難です。

次に何かの由来からくる名前ですが、これは少々の知恵・知識とリサーチが必要になりますが、いい名前を見つける事ができれば、上記2つの方法より”かっこいい”名前になると思います。 

小林
小林
例えば、みなさんもご存知の”スターバックス”

 今でこそみんながコーヒーの店と認識できる名前ですが、名前の由来は小説と地元の地名からきていて、小説「白鯨」に登場するコーヒー好きの航海士”スターバック”と、シアトル(本社がある都市)南に位置する炭鉱町”スターボ”から名付けられたそうです。

よってマークもなんとなく航海関連の模様ですよね。

”上手な話”を利用した名前を付ける事ができれば、それも良いマーケティング戦略になると思います。

最後にトレンドからヒントを得た名前ですが、これはあまりおすすめしません。

やはりトレンドですから、市場にインパクトは与えやすいですが、その反面、そのトレンドが終わってしまえば、新規営業などに苦労すると思います。

小林
小林
いい例として、私がアメリカにいた頃、みなさんもご存知のおもちゃ店の”トイザらス”の人気が出てきた頃、私が住んでいた地元の小さい店に、”○○ザらス”という店をよく見かけました。

ゴルフの店、”ゴルフザらス”、マットレスを売る店、”マットザらス”、キッチン用品を売る店、”キッチンザらス”など。見た瞬間、笑ってしまい、確かにインパクトがある名前でしたが、どの店も5年以内に閉店していました。

もちろん名前だけが原因ではないでしょうが、トイザらスの人気が落ちてきた頃、これらの店のインパクトも同時に落ちていくのは明白です。

ある程度の社名のアイディアがリストアップできたら、下記の方法を使って同じ名前がないかどうか確認してください。

事業目的

これは下記で紹介する政府機関に提出する書類に記載が必要であったり、ホームページなどの会社紹介などに利用する文章です。
なるべく簡潔に、業界以外の人が見てもその事業が分かる文章で書くようにしましょう。

資本金

現在では、株式会社・持分会社共に、資本金1円にて設立はできますが、この情報は、会社の情報に記載されますので、取引をしようとしている会社や金融機関などに見られる事になります。

よって、いくら1円で起業できるからといって、ここの欄に”1円”とあるのは信用の観点からすると、どうでしょうか?

もちろん多い方がよいでしょうが、一般的に言われているのが開業後、”3か月から6か月間、会社が持ちこたえられる位の金額”が妥当と思います。

そして、資本金1000万円以下の会社は、最長で2期の間、消費税が免除されるという優遇もありますので、それも検討の上、決めて下さい。

本社所在地

会社の住所の事ですが、すでに個人事業をされている方は、そのままの場所をお使いになるケースもあるでしょうし、新たな場所に移動されるケースもあるでしょう。

いずれの場合も業種によっては所在地の規制がある場合があります。

例えば、学校や病院の周りにはふさわしくない業種、住宅街の中、建築業や宅建業など規制がある場合があるので、所轄官庁に確認しておく事をおススメします。

発起人の決定と役員の選出とその人数

会社を起こした人は誰かというのを記載する必要があります。これは会社設立時のみに出資や会社手続きの責任者です。

次に会社の役員ですが、誰を会社の役員にし、その人数を何人にするかという事ですが、これは株式会社は必修で、持分会社は任意となっています。

決算日・設立日の設定

まず設立日ですが、これは登記申請書を提出した日が会社設立日となりますので、会社の事情など考慮して提出するようにしましょう。

そして、決算日ですが、資本金が1000万円以下の会社は最初の納税期間にての消費税は免税事業者扱いとなります。
なので、その優遇期間を長引かせる目的で、会社設立日した月の前の月末日を記載するのが一般的です。 (例:設立日が4月20日なら3月31日)

登記書類の為の準備

登記書類を作成するにあたり、下記の2つが必要になってきます。

  • 資本金の支払い証明書と通帳のコピー
  • 印鑑届書

資本金の支払いは、この地点ではまだ会社名義の法人口座を作れないので、発起人名義の銀行口座に振込、その証明をする必要があります。

登記書類の作成

登記申請には、下記の書類が必要となってきます。

  • 発起人決議書
  • 発起人会議事録
  • 代表取締役選定書(*)
  • 取締役就任承諾書(*)
  • 監査役就任承諾書(*)
  • 印鑑届書

(*)株式会社設立には必修

それぞれの会社形態のメリットとデメリット

最初の項目で、会社設立する事に関してのメリットとデメリットをお伝えしましたが、最後に、それぞれの会社形態のメリットとデメリットをお伝えします。

これらをご参考に、最終的に会社設立するか、するならどちらの会社形態にするかを決めていただければと思います。

株式会社のメリットとデメリット

株式会社のメリット

社会的信用を得られやすい
・資金調達をしやすい
・節税の選択肢が増える
・優秀な人材が集まりやすい
・個人の資産の差し押さえがない

株式会社のデメリット

・スタートアップ時に資金と費用が他の会社形態よりかかる
・他の会社形態より準備しなければならない書類や手続きが多い
・運営費がかかる(複雑になった法務や税務の相談として専門家に相談する費用など)

持分会社のメリットとデメリット

持分会社のメリット

・株式会社の形態より経費が少なくてすむ

持分会社のデメリット

・社会的信用を比較的得にくい

まとめ

最後に、どのようなケースなら会社設立した方が良い、若しくはしない方が良い、そしてどのようなケースなら株式会社を設立した方が良い、どのようなケースなら持分会社を設立した方が良いというのをまとめてみましょう。

会社設立をした方が良いケース

・はっきりとしたビジネスプランと野望がある
・計画に基づいた資本金がある
・すでに営んでいる事業が軌道に乗っていて、税金面での優遇を受けたい

会社設立を控えた方が良いケース

・ビジネスプランが二転三転している(方向性が見えない)
・計画に基づいた資本金がない

<会社を設立するとなった場合>

株式会社を設立した方が良いケース

・すでに始めている事業が軌道に乗っていて、更なる資本金が必要

持分会社を設立した方が良いケース

・個人事業でやっていたビジネスが軌道にのり、そろそろ税金面での優遇を受けたい。
 でも、まだ規模は小さい又は資本金はそんなに多くない(例:1000万円以下)
・経営参加者の人数が少人数(例:3人以下)